#7
現実世界の忠雄(香川照之)は容態が急変したものの、蘇生措置によって奇跡的に持ちこたえた。
だが依然として危険な状態に変わりはなく、その時は刻一刻と近づいている。

「一雄のこと、待ってるんだよ」…ベッドに横たわる忠雄を見つめながら、澄江(倍賞美津子)は智子(市川実和子)に呟く。

同じ頃、生霊の忠雄を襲っていた苦しみもパタリと止み、橋本(吉岡秀隆)が次の分岐点へとワゴンを走らせようとした時、健太(高木星来)が嫌だと叫ぶ。

澄江の言葉に勇気をもらった健太は、母親が自分のことを覚えているかどうか確かめる決心をしていた。
「今度は逃げないから」そう覚悟を示す健太に橋本は言う。

母親に会うということは、未練を断ち切って成仏することだと。
うなずく健太を、橋本は微笑んで送り出す。

しかしその笑顔の裏に何かが隠されていると、忠雄だけが感じ取っていた。

その夜、忠雄は橋本を居酒屋に連れ出す。
たまには親父同士も良いだろう、と豪快にビールを煽った忠雄は、橋本に問いかける。

「お前、ほんまに健太をジョーブツさせたいんか?」

翌朝、橋本をだけをワゴンに残し、一雄(西島秀俊)たちは健太の母親の家へ向かう。
成仏するには、夜が明ける前に蓼科峠の事故現場へ戻らなければならない。

意を決して母親に会おうとする健太。
だがその前になぜか忠雄が立ちはだかり…。
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