#6
忠雄(香川照之)が現実世界で今にも死にそうな状態にあることを、とうとう本人に明かした一雄(西島秀俊)。
死の淵でなにか大きな後悔を抱いた忠雄の、やりなおしたいという強い思いが生み出した生霊…それが一雄の旅の中に現われた若い忠雄なのだ。

後悔を消せないまま現実の忠雄が死んでしまえば、生霊の忠雄は永遠にこの世をさまようことになる。
それを知った忠雄は、この時代の自分と接触しようと広島県福山市・鞆の浦の家へ向かう。

しかしそれを知った橋本(吉岡秀隆)は一雄に忠告する。
この時代の老いた忠雄と若い姿の忠雄、出会うはずのない2人が出会えば、時間の流れにゆがみが生じ、すべてが元に戻されてしまうと。

これまでのやり直しの旅も無かったことになると知り、一雄は大急ぎで忠雄を止めに走る。

鞆の浦・永田家の前で、72歳の忠雄が秘書に囲まれて車を降りた。
老いを感じさせない、迫力ある風情だ。
そこへ生霊の忠雄が近づく…が、すんでのところで一雄と健太(高木星来)がそれを阻む。

この時代の忠雄は一度倒れている。
しかし頑なに検査を受けることを拒んだ。その結果、後にガンが発覚した時にはもう手遅れだった。
“あのとき検査を受けておけばよかった”…それが自分の死の淵での後悔だと言う忠雄は、一雄にこの時代の自分を説得しろと言う。
しかし、一雄は現実の忠雄とは長く口も聞いていない。
ふんぎりのつかない一雄が家の前で躊躇していると、澄江(倍賞美津子)と智子(市川実和子)がその姿を見つける。

6年ぶりに実家へ足を踏み入れた一雄は、72歳の忠雄と対峙するが…。
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