#1
「いったい僕はどこで間違えたのだろう…」
永田一雄(西島秀俊)はこの半年間のうちに、リストラ宣告をされ、妻の美代子(井川遥)から離婚を切り出された。
家には家庭内暴力が止まらない息子・広樹(横山幸汰)がいる。

そんな一雄の心には、さらに末期癌の父親・忠雄(香川照之)との確執までが存在した。
強かった父親とは、最後の最後まで向き合えないままだった。

「あの人なら、こんな時、どうしただろう」
若い男と会っている妻に対して…。
壊れた一人息子に向かって…。
やつれていく憎むべき父親の死を目前にして…。

そんな思いで駅前のベンチに座っていた一雄の前に、突如ワインカラーのワゴンが現れる。
その車を運転するのは、5年前に亡くなっているはずの橋本義明(吉岡秀隆)。
同乗している息子・橋本健太(高木星来)も、同じく亡くなっているはずだ。

この2人と一緒に不思議なワゴンに乗り、過去の大切な場所を巡るうちに、一雄は妻や息子とうまくいかなくなったきっかけを知ることになる。
生々しい現実を前に、動揺し、苛立つ一雄。
そして旅の道中、「1年前の」上野駅前に戻った一雄の目に、鮮明に記憶に残る光景が再び映った。若い男と歩く、妻の美代子だ。

狼狽する一雄の前に、今度は自分と同じ歳の父親が現れ、促されるままに行動を共にすることになる。
忌み嫌っていたはずの父親が、現実の親子でも、友人でもなく、「朋輩(ほうばい)」として隣にいる。
それがきっかけで、気付かなかった多くのことが見え始める一雄。

果たして一雄は、妻との再出発、息子との絆の回復が出来るのか?
絆とは?幸福とは?愛情とは一体何なのか?
様々な家族関係を軸に描く、人生の再生と、家族愛の物語。
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