THE RAMPAGE「(R)ENEW」オフィシャルインタビュー
――ニューアルバム『(R)ENEW』はどんな作品をめざしたんですか?
陣:実は去年9月に東京ドームでライブをやらせてもらったときに、THE RAMPAGEのその時点でのピークを感じられたんです。アルバムを制作する段階で3月1日からツアーが始まることが決まっていたので、東京ドームを超えるライブを作るために、どう攻めていくかを考えました。そこで、ツアーと連動させたアルバムにして新しい世界観を表現しようとスタッフさんと話しさせて頂いたんです。
――だからタイトルも『(R)ENEW』に?
陣:そうです。結成10周年を経たこのタイミングでアルバムを出して、そのタイトルが『(R)ENEW』=更新というのは、僕らの想いがファンの方たちにも伝わりやすいんじゃないかと思って。
――制作にあたって今回は初期段階からスタッフと綿密に話したそうですね。
陣:今回は初めて0から1の段階というか、実作業に入る前から僕と壱馬と龍でスタッフさんと一緒に話したんです。どんな曲が必要かとか、どんな曲をやってみたいかとか、どんな曲がTHE RAMPAGEに合うのかとか、しっかり話させてもらいました。
川村壱馬:大前提として、今までのようなアルバムの作り方……リリースしてきたシングルをまとめて、アルバム用に新曲を1、2曲作るという方法がファンの方に優しくないと思っていたんです。もっと受け取る価値があるものにしたいと思っていたんですよ。だからスタッフさんと会議する前から、今回は新曲をもっと増やしたい、というふうに考えていたんです。
――曲調の振り幅やサウンドの方向性に関しては?
川村壱馬:僕と陣さんで全体の方向性を決めて、より具体的なサウンド面で龍に入ってもらいました。今回いちばん強く思っていたのは、THE RAMPAGEの音楽性やイメージからブレないこと。それがドシッとありながら振り幅を持たせていくことを考えていたんです。だからタイアップソングを作るにしても、サウンドの方向性含めて、お互いにとって良い曲になるよう考えて提案させていただきたいなど、そういう話もしました。
――トラック選びにも参加したんですか?
川村壱馬:だいぶいろいろ聴かせてもらいました。デモを聴いて「こっちよりこっちの方がいいんじゃないか」とか「もうちょっとこういう音の方がいいんじゃないか」とか何回もスタッフとラリーして決めていきました。
――メンバーからリファレンスを具体的に提案したりもしたんですか?
陣:しました。同じジャンルでもこういうのはあるからこっちじゃない?とか、幾つかパターンをA、B、Cと出したりして。たとえばニュージャックスウィングでもEXILEさんの「New Jack Swing」のカバーはあるから、もうちょっとゆったりした感じもいいよねということで「BE WIZ U」ができたりとか。THE RAMPAGEを形成する曲のパズルがあったとしたら、まだ埋まってない部分が結構あって、そこが埋まれば埋まるほどライブがもっとうまく作れるんですよ。そういう意味でもライブをイメージして今回は作ったんです。
――そのように制作から携わってみた感想は?
陣:まずは、こういうインタビューのときに曲の内容について話すことがめっちゃ出てくる(笑)。自分たち発信なんでシンプルにそこが違いますね。
川村壱馬:やっぱり思い入れも全然変わってきますよね。
陣:曲の内容を伝えやすいし、言葉で伝えやすい=パフォーマンスでも絶対伝えやすくなってると思うんです。振付も、これはこの人に頼むとか、これは自分たちで考えるとか、1から自分たちのアイデアが入ってることは大きいです。
RIKU:ずっと前からメンバーが携わるアルバム作りに挑戦したかったんですよね。もちろん、いろんな作家さんの力を借りながらですけど、自分たちの等身大の思いが投影された楽曲になっているので本当にリアルというか。今の僕らの全力、思いの丈、覚悟が詰まったアルバムになりました。グループにとって分岐点的なアルバムだと思う。
吉野北人:このアルバムを聴いていただければTHE RAMPAGEの楽曲の幅を感じて頂けると思います。「PRIMARI SPIDER」ツアーではアルバム全曲を披露してるんですけど、今回のアルバムを通じてライブの幅もすごく広がったんですね。新曲だからライブで初披露するパフォーマンスが多いし、よりライブが新鮮になっていて、本当に“更新”されている感じがするんです。
RIKU:7曲全部ジャンルが違うというところで七色、それこそ虹色のアルバムになったと思っていて。僕たちが信じるTHE RAMPAGEなりのLove Dream Happinessも入っているし、かっこよさも詰まっている。僕ら的に「BURN」や「Rizzup」は世界を意識した曲なんですよ。ゴリゴリのTHE RAMPAGEも好きだけど、ポップスをやっているTHE RAMPAGEも好きという方がいらっしゃるのもわかっているので、その点で「PRND」のような楽曲も入ってる。そうやって自分たちが信じるものと、聴く人が見たい・聴きたいもののバランスがうまく取れたアルバムになったと思うんです。
龍:僕たちの新しい一歩になったと思いますね。自分たち発信のものをライブで届けられる喜びを感じているし、今回の制作がひとつの大きな転機になるんじゃないかと期待してます。
――先行配信された「蜘蛛の糸」は、和太鼓エンターテイメント集団・DRUM TAOと2度目のコラボになりました。彼らとコラボした経緯は?
陣:日本のアーティストで、DRUM TAOさんのような和のテイストとダンスミュージックとミックスさせる方はあまりいないと思っていて。いい意味で浮いてるというか、目立つんですよね。前回の「Summer Riot 〜熱帯夜〜」のようなラテン調でも、今回のようなヒップホップ調でも、まず珍しさが勝つというところがあるんです。
――DRUM TAOとコラボすると独特な祝祭感が出ますよね。日本の盆踊りでもなく、海外のプールサイドでのパーティーでもない。どこか原始的な祭礼感がある、
陣:THE RAMPAGEって自分たちの文明を切り開きたい集団なんですよ。何々っぽいと思われたくないし、流行りに乗るのも嫌な人たちなんで。だったら自分たちで自分たちの土地を広げるみたいな。それが音楽と共に広がっていったらいいよねという考え方なんでよ。LDHミュージックと呼ばれているようなサウンドと差別化を計りたいし、DRUM TAOさんとのコラボはTHE RAMPAGEらしさを出す良いトリガーになっていて、ありがたいなと思っていますね。
――「蜘蛛の糸」のレコーディングで壱馬さんは新しいアプローチをされたそうですね。最初はメンバーにも気づかれなかったとか(笑)。
川村壱馬:そうなんです(笑)。《容赦ないWho’s on top?》から《何度だってHPはRound1》までのラップ部分。あとはサビの頭の《Caught in a WEB》も喉の使い方が全然違うんです。しかも自分的にはすげえやりやすい(笑)。
――どうして、これまでやってこなかったんですか?
川村壱馬:このアプローチが武器になる楽曲が中々なかったので、やってこなかっただけなんです。でも、自分の引き出しにあることは自分でわかっていて。「蜘蛛の糸」は作曲者のひとりであるJUNEさんにディレクションしてもらったんですけど、デモの段階でああいうアプローチになっていたから「おぉ来た来た、よしよし!」と思って(笑)。
――RIKUさんも「蜘蛛の糸」で新しい自分に出会えたとか。
RIKU:僕が歌うときにいちばん意識するのは楽することなんです。意味としては、喉にストレスを与えないということ。肉体的に余裕をもたせるための発声を学んできたので、その基礎に立ってすべての楽曲を歌ってきたんですね。だけど、今回、ちょっとエッジを効かせてみたりとか、敢えてストレスをかけて歌っていったんです。
――それはどの部分ですか?
RIKU:《見つけた王座(いっぽん)の輝き》の“き”のところ。普段だったらああいう歌い方をしないんです。あと、サビの《Caught in a WEB》のところは僕と北人がコーラスを入れてるんですが、そこで壱馬の歌い方に寄せていくとか、随所にチャレンジが入っていて。「こういう風にやると、自分の声ってこういう音になるんだな」って新しい自分、新しい声に出会えた「蜘蛛の糸」はすごくキーポイントになったと思います。
――その点、北人さんはどうですか?
吉野北人:「BURN」はラップっぽいというかノリ重視のフレーズが入っていて新鮮でした。「これ、俺が歌うんだ。このフレーズもらっていいんだ」っていう(笑)。THE RAMPAGEとしても「BURN」は新しい感じというか、これまでならカップリングに入れていたような楽曲がアルバムリード曲になったので意外性があったんじゃないかと思います。
RIKU:僕も「BURN」では、初めてピッチをまったく気にせず歌いました。トラックを流して、唯々、自分が感じたままにシャウトしてみたら、それがそのまま使われたんです。特にサビの部分ですね。こういうのも遊び心のひとつとしてアリなんだなって思ったし、大人ぶるじゃないですけど、“かっこつけることをやめるというかっこつけ”みたいなニュアンスが出た曲になりましたね。
――「Drown Out The Noise」は荒々しいロック調に仕上がっていて、北人さんが主演した映画「遺書、公開。」の主題歌にもなりました。
吉野北人:「Drown Out The Noise」は100曲近くあったデモから選んで作っていったので思い入れも強いですね。
――どのような観点でデモ選びをしたんですか?
吉野北人:映画の世界観に寄り添いつつも、THE RAMPAGEがライブでパフォーマンスしているところも思い浮かべながら選びました。映画の主題歌といえど、THE RAMPAGEが全面に出る楽曲にしたかったし、インパクトが残るサウンドだなと思ったので。
――70年代ハードロックを思わせるざくざくしたサウンドが印象的でした。
吉野北人:この映画にはロック調が合うだろうなと思って、監督と打ち合わせする段階から伝えていたんです。映画は重めなトーンが続いて最後は衝撃的な感じで終わるんですけど、そこで空気をぶった切って曲が入ってきた方がバチッとハマるなと思って。でも、キャッチーさもあって、そのバランスが取れた楽曲だったからいいなと思ったんです。今、ライブで歌っていてもかっこいいなと思いますね。間違いないなって。
――「Rizzup」は龍さんがトラックメイクを担当しました。経緯から教えてください。
龍:グループの曲を作るのは僕の目標だったんですけど、たかが1、2年トラックメイクをやっただけで作れるわけがないし、スタッフさんたちを説得できるロジックも必要になってくるので、昨年の『THE RAMPAGE REMIX ALBUM -RMX16-』収録の「16BOOSTERZ」と「INVISIBLE LOVE」のリミックスを作らせてもらったり、自分たちのライブで使う音源を制作してきたり、自分なりにそういう段階を踏んで、今回僕も制作会議に参加させてもらったんです。そのときに音サビの楽曲を作ろうという話になって、それは僕にやらせてくださいと。メンバーに長文で気持ちを伝えて直訴したんです。
――「Rizzup」は、どのようなサウンドを考えたんですか?
龍:Industrial Bassをメインに考えました。どこで勝負かと考えたときに音のレイヤーの数だと。LDHミュージックにはシンセを使った楽曲が多くて、上ものだけで20〜30トラックあるんですけど、「Rizzup」は上ものがほぼゼロなんです。ファンの方もそういうLDHミュージックに慣れているはずなので、まずはそこがファーストインパクトになると思って。
――低音域を強調したサウンドプロダクションということですね。
龍:低音がゴニョゴニョ鳴ってる系ですね。最初はもっと上の音域でアシッドテクノ系の音を入れてたんですけど、それもカットして、とにかく印象づけたいと。そもそも今回は1曲1曲が個性の強いアルバムを作りたいという話になっていたので、ちょっとオーバーなくらいでもいいのかなと思って、ぐっと音数を減らしたんです。
――ベース音がメインになるドロップと、伸びやかな歌メロが登場するBメロの対比が印象的でした。
龍:そのドロップと呼ばれるサビから作っていって、そのあとメジャー感を考えてBメロに爽やかなメロディーを入れていったんです。Bメロは普通の理論だったらスネアを重ねたりしてビルドアップしていくんです。でも、北人さんの声がきれいなので、映画の環境音っぽい音を使ってシネマティックにした。敢えて世界観を変えてきれいな方向に展開したんです。その方がライブで披露したときにお客さんの耳を引きつけられると思ったし、実際それを今回のツアーで確認できたので嬉しかったですね。
RIKU:「Rizzup」は龍が僕たち3人のストロングポイントを意識しながら作ってくれたこともあって、レコーディングに来てくれたんですよ。そのときに龍の期待に応えられなかったらどうしようって正直思ってました(笑)。なんですけど、本人的にはすごく満足してくれたんで「あぁ、良かった」って。
――龍さんがトラックメイクに興味を持ったきっかけは?
龍:2018年頃にGYAO!の配信番組の企画で、MPCプレイヤーのKO-neyさんの下で修行したんです。習い始めたときはヒップホップが好きで、そこからいろんな音楽を聴くようになったんですけど、ジャンルというよりアナログの機材に興味を持った方が大きくて。ノブ(ツマミ)がたくさん付いてる機材がかっこいいなと思って、一時期はアナログシンセを買いまくって勉強して、そこから音楽理論を学んで行ったんです。
――トラックメイカーとして影響を受けたアーテイストやジャンルは?
龍:アーティストだとエイフェックス・ツインとか。ベルリンのテクノシーンとかデトロイトテクノ、アシッドテクノも好きです。日本だと大沢伸一さんですね。テクノの要素がありつつ、コードの理論がしっかりJ-POPに落とし込まれてるので、とても尊敬しています。
――唯一のバラードとなった「Far Away」は、どんな楽曲にしたかったんですか?
川村壱馬:サウンド的にはとにかく壮大にしたかったんです。あと、バラードはバラードでも人生に寄り添えるものにしたかった。THE RAMPAGEを応援してもらってる以上、価値のあるグループでいたいからファンのみなさんに寄り添えるメッセージを届けたかったんです。
――歌詞は内省的ですね。そもそも《Time stands still》=時は止まったままという歌詞から始まりますし。
川村壱馬:そうなんですよ。絶望の淵にいるというか。
――目の前の不安に立ちすくみながら、でも進む先には道があることを逆説的にメッセージしている。
川村壱馬:今やってることに意味があるのかな?とか、これは無駄なんじゃないか?って思うことはあるじゃないですか。虚しく時間が過ぎていくことがしんどくなることもあるけど、僕らがいるよと。未来もちゃんとあるんだよと。だからやってきたことは無駄じゃないんだって。そういうメッセージを伝えて、「あ、大丈夫なんだ」と思ってもらえるような楽曲にしたかったんです。
――今回のDISC 2には、2023年のツアーテーマ曲「16BOOSTERZ」や、2024年のツアーテーマ曲「CyberHelix」が収録されています。今年のツアー「PRIMAL SPIDER」も開幕しましたが、ツアーは年々どのように進化していると感じていますか?
陣:派手さよりもメンバーのフィジカルが高まっていってる印象があって、あまり小細工せずに見せられるようになってきたように思います。最初は大きくいびつな形で、いろんなものを組み合わせて派手に見せる作り方をしていたんです。それをどんどん研磨して、削ぎ落として、すごくキュッとしてるんですけど、見る角度によって違うみたいな。初めてTHE RAMPAGEを観る人はこう感じるし、ずっとTHE RAMPAGEを見てきた人からするとまた違う新鮮さを感じたりするのかなって。身内の人が見たらまた違うでしょうし、同業者が見たらまた違うとか。でも、どの角度から見ても楽しめるライブになっているんじゃないかなと。今回は特にそんなライブになっていると思います。
――実際、ツアー初日にステージに立ってみた感想は?
川村壱馬:めっちゃいい手応えです。アルバムの作り方が良かったのか、去年の東京ドームの経験があるからなのか、歴代のツアー初日を更新する初日でした。自分たち的に過去イチ初日が出た。
陣:僕もすごく手応えを感じました。ツアーのテーマ曲である「蜘蛛の糸」から派生して“和”というテーマで一貫させたときに、付随するパフォーマーコーナーもTHE RAMPAGEにしかできないものが作れた。10分くらいの超大作なんですけど、我ながら面白いものができたと思いながらパフォーマンスしてました。
川村壱馬:これまでのライブでは、ここが必殺ポイントという濃いところを作ってたんですが、今回は全体的にバランスが取れていて、攻め攻めの尖った見せ方かと思いきや、ちゃんと寄り添えるところがある。しかも、その寄り添えるところを今回は自分たちの音楽性ありきの楽曲で作れたので、僕ら自身がずっと楽しくパフォーマンスできるんです。もちろん今までのライブもずっと楽しかったんですけど、今回は全部に納得してライブができてる感じがありますね。
――なぜ、そこまでの進化ができているんでしょうか。10年やってきた経験と自信ですか。
陣:僕の中でまだ答えは出てないんですけど、ライブに向き合う時間が年々伸びてるんです。僕たちの中で「いちばんやりやすいライブはこれだ」みたいな流れってなんとなく決まってくるんですよ。ただ、ライブを重ねるごとにそういうパターンが削られていくし、そもそもそれに乗るのが嫌だなって思うんです。だから今回のツアーも本当に悩んだ結果、フォーマットをぶち壊していったんですよ。パターンの話で言えば昨年の東京ドーム公演がいちばん王道で、その王道にいたる細部にこだわったのが、あのライブだった。でも、それを東京ドームでやったからこそ、まさにリニューアル。ライブでも新しい挑戦をして更新したかったんです。
――結成10周年を経た今、1人のボーカリストとして今後更新していきたいこと、高めていきたいことは何ですか?
吉野北人:もっと個人、ソロの力を付けたいなと思っています。そうすることでチームにも還元できると思うし。もう28歳という年齢になって、ひとりでもちゃんと勝負できる人でありたいなと。これまでもソロをやってきましたけど、16人に守られながら、甘えつつやってきた部分があったんです。でも、もっと自分を出していかないとこれ以上先に進めないなと。チームカラーが大前提にあった上で、ソロになったときは積極的に自分色を出していく。ちゃんと自分ファーストで物事を考えられるようになったんですよね。
――吉野北人として今、いちばんの武器や強みだと思っていることは何ですか?
吉野北人:いい意味でTHE RAMPAGEっぽくないところが武器かなと思います。昔はコンプレックスだったんです。変に太いチェーン付けたりして、無理してんなっていう感じだったんですけど、今は強みでしかない。
――北人さんのスウィートネスや少年性は楽曲の彩りに必要不可欠な要素だと思います。
吉野北人:そうですよね。だから、そこが強みになってる。
――今回の新曲でいえば「BE WIZ U」のような世界観の楽曲に、自分のカラーが活きると思っていますか?
吉野北人:「BE WIZ U」は自分のボーカルがしっかり出せた曲という印象がありますね。「BE WIZ U」や「PRND」は寄り添ってる感じがいいなと。THE RAMPAGEは強さがあるから。でも、強いだけだとファンのみなさんも疲れちゃうじゃないですか。
――RIKUさんが、今後更新していきたいこと、高めていきたいことは?
RIKU:どこまでも歌うたいでありたいという思いがあって、すべては歌のためにという信念のもとに個人活動もやっているんです。LDHの中でも、ここまでお芝居して、ミュージカルの舞台に立って、歌い踊り演じているのは僕しかいないと思っていて。なので、やるんだったらしっかりとその道を極めていくというのがまずひとつ。そして、そこで得たものをグループに還元していくことで自分の夢であるソロシンガーとしてのデビューに繋がっていくと思うので、歌に吸収できるものはなんでもやっていくぞと思っています。
――RIKUさんは幅広い歌声の持ち主でオールマイティだと思うんです。ボーカリストとしてどんな部分が強みだと思っていますか?
RIKU:THE RAMPAGEのボーカルとしては、音楽幅を広げる役割と、あとはベースとなる部分かなと。植木鉢に例えると、土と鉢の部分を僕が担っているのかなと思っています。
――北人さんと壱馬さんは?
RIKU:花です。僕は世界一、2人の歌を聴いてきているので、2人がいちばん輝くジャンルやキーを熟知している。なおかつ、2人は対極にいるシンガーなので、そこを繋ぐ役割をやらなきゃいけないと思ってるんです。花を咲かせるためには養分となる土が必要で、その土を入れる鉢がないと花はたおれてしまう。3ボーカルの一員としてもそうだし、16人のうちのひとりとしても、僕の役割はそこかなと思ってます。
――16人の中でもそうなんですか?
RIKU:僕らの歌がないとパフォーマーはTHE RAMPAGEとして踊れないわけじゃないですか。もちろん逆も然りですけど。一方だけでは花を咲かせることができない。それはすごく意識しています。僕って、輝きを放つ日本刀を持っているけど常に抜いているわけじゃなく、グループでいるときは鞘に収めてる。で、ここぞというときにズバッと抜いて、またスッと鞘に戻す。そんな感覚なんですよね。
――壱馬さんはどんな部分を高めていきたいですか?
川村壱馬:昔から一貫してるんですけど、代わりがいないアーティストでありたいです。今の世の中は、我が身かわいさで言いたいことに目をつぶってる人が多い気がするんです。でも、そういうことに目を向けて音楽で発信していきたい。それって尖ってるわけじゃなく、当たり前のことをちゃんと世の中に浸透させていきたいだけなんです。今、いろんなアーティストがどんどん出てきているけど、お前らは何を思ってその曲を歌っているの?ということが試されていると思うんです。そこで説得力のないアーティストになりたくないんですよ。応援してくれる人に対して、その時間を無駄にして欲しくない。本当に良いものだけを受け取って欲しいし、受け取ってくれたものがその人の人生の助けになってくれたら嬉しいから。説得力のある楽曲作り、音楽活動を続けていきたいです。
ーー龍さんはトラックメイカーやDJとして、どんな目標を持っていますか?
龍:16人それぞれが存在意義を極めていかなきゃならないし、そのためにはいろんな方向があると思うけど、いわゆるDJ担当みたいなレールには乗りたくないと思っています。というのも、今回のツアーではシンセサイザーを使った演奏パートに挑戦したんですよ。お客さんはちょっとポカンとしてたけど、こういう世界もあるんだよっていうのを知ってもらいたかったんです。あと、海外で勝負したいという気持ちもありますね。
――DJというより、プレイヤーとして?
龍:そうです。今年ベルリンに行って改めて思ったんですけど、エレクトロミュージックの世界は、DJもするし、トラックも作れて当たり前だし、パフォーマーでもあるっていうカルチャーじゃないですか。この間、「BOILER ROOM」(最先端の音楽を発信するロンドン発祥のオンラインストリーミングプラットフォーム)で日本人の¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$Uという方がバズってYouTubeで600万再生を突破したんですね。そういうふうに世界に向けて勝負してみるのもいいんじゃないかと思うし、そこで得たことをTHE RAMPAGEに還元できればいいなと思っています。
――今回「PRIMARI SPIDER」の追加公演として「"PRIMAL SPIDER" 〜巡らせる糸〜」というホール公演が開催されることが発表されました。アリーナ公演とはどんな違いを見せたいですか?
陣:中身はこれから作っていくんですけど、今年のTHE RAMPAGEは、蜘蛛の糸を張り巡らすように、より近くで、よりいろんな場所で活動していこうということでホール公演を決めたんです。さっきのパターンの話で言うと、Aパターン、Bパターンという感じでセットリストを考えても削られていく演出や楽曲があるんですよ。だから、簡単に言えば「PRIMAL SPIDER」のアナザーストーリーと思って頂けたらいいかなと。アリーナと同じ楽曲をやったとしても、次のセクションに行くときの曲が違うとか。そうすると印象が変わってくるでしょうし、そういう違いがライブの面白味だと思うんです。
――10周年を経て、今、THE RAMPAGEのチームワークはどんな状態ですか?
陣:チームワークはめちゃめちゃいいです。各々の責任感は年々高まっているんですけど、プロフェッショナルとしての在り方とか、過ごす時間の濃さが変わってきてるなと。それって別に誰かに言われてやることでもないんですよ。誰かの姿を見て変わっていくことだったりしますし、ライブのステージに立って各々が自ら感じることだと思うから。僕らの一番の望みは、ライブに来てもらってファンになってもらって応援してもらうことなんです。そこに16人の意識が向いている。それぞれの個人活動もありつつ、こういうツアーがあるおかげでみんながひとつになってるんです。
――メンバー発信でアルバムが作れたことも、チームワークの高まりに繋がっているでしょうしね。
陣:そうですね。それが自信に繋がっているメンバーも多いと思います。それがまた次に繋がっていくでしょうし。16人全員がTHE RAMPAGEじゃなきゃいけない理由を常に探してるんで、それをテーマにこの先もやっていきたいと思います。