あらすじ
都内の内科病院で看護師をしていた宮園彩夏(秋元才加)は23歳の誕生日、4階の自室から転落してしまう。
幸い一命は取りとめたが、脊髄損傷で下半身の感覚を失ってしまった彩夏。
入院生活を送る彩夏の精神状態は荒廃し、故郷の鹿児島県大隅半島から出てきた母の洋子(愛華みれ)や病院関係者にも不満ばかりぶつけてしまっていた。

そんな彩夏の心を解きほぐしたのは18歳の千尋(吉岡里帆)、14歳の龍之介(石井貴就)ら、同じ車椅子の仲間たち、そして同室の高柳マリア(杉田かおる)、野田幸子(松金よね子)とその夫・清一郎(ベンガル)であった。
また同時に彩夏の心の支えとなったのは、鹿児島県大隅半島に暮らす祖母の勝子(三田佳子)とのメールのやり取り。
父の政春(榎木孝明)が「彩夏はお袋と似とる」というように、彩夏と勝子には不思議な強い繋がりがあった。
自分の車椅子をオーダーする時、彩夏は真っ赤な車椅子を選んだ。
大隅半島で家族が育てている赤いマンゴーを思い出したのだ。

『おもいだしたすきだったあやかマンゴー』。
痴呆の進む勝子との奇妙で少し哀しいメールのやり取りを通して、彩夏は次第に笑顔を取り戻してゆく。

―が、彩夏が入院して数日も経過してからようやく見舞いに訪れた恋人の後藤(森宮隆)。妻のいる後藤にとって、彩夏との関係は不倫であった。
妻との間に子供が出来たという後藤は彩夏に別れを告げ、彼女の元を去ってゆく。夜―。

車道に身を投げ出そうとしていた彩夏。
彼女を救ったのは、同じ車椅子の入院患者でロックミュージシャンの五十嵐翔太(NAOTO)であった。彩夏の車椅子を「赤い戦車」と名付ける五十嵐に前を向いて生きる事を教えられ、彩夏は吹っ切れたようにリハビリに励んでゆく。

そんな時、なんと田舎から勝子が見舞いに訪れた。
真っ赤なマンゴーを持って。
その勝子の来訪がまた、彩夏を勇気づける。
脊髄腫瘍が進行し、ギターが弾けなくなってゆく体の変化に戸惑う翔太。

しかし、「俺は、最後まで苦しんで、あがいて、戦ってみせるぜ」と彼は自分の病気と闘い続けていた。
ある日、彩夏は翔太からバンドのラストライブのチケットを貰う。
ライブ当日、彩夏は理学療法士の菊池(仁科貴)らの協力を得て病院を抜け出し、ライブ会場に向かった。
それは彩夏が車椅子の生活になってから初めて経験する「外の世界」であった。