第1話
大勢の関係者を前にスピーチを行う都庁の役人・浅井栄治(唐沢寿明)。
1千億もの予算が動く大プロジェクトを、彼はナポレオンの言葉を絡めて堂々とアピールする。
「不可能なことはないと私は信じています!」強さと魅力を持つ彼の言葉に、会場は拍手で包まれる。
 そんな浅井がド田舎の「星河市」で村興しの仕事をすると知り、幼なじみの経営コンサルタント・戸川真人(山本耕史)は驚く。
東京都星河市にある「神楽村」は、日本が1万箇所以上抱える限界集落のひとつだ。
いま、その土地ならではの価値を活かして復活を目指す村が次々出てきているのだと浅井は語る。神楽村にも、素晴らしいものがきっとある。
それを絶対に見つけ出す!そう言い切る浅井に苦笑する戸川。

そして星河市役所への初出勤の日。浅井は星河市市長の福本純也(沢村一樹)から、「都庁でのやり方は忘れて、この役場のルールを守ってください」と早々にけん制される。

さらに福本の腰巾着である課長の山田大地(ムロツヨシ)をはじめ、農林商工課の職員たちは都会から来た浅井を煙たがり、とても歓迎ムードではない。
中でも、職員たちの中で異彩を放つ都会的な女性─岬由香里(麻生久美子)は、浅井が「余計なこと」をしないか見張るよう福本に命じられていた。
神楽村の担当として、浅井はさっそく村の祭の実行委員を任される。

しかし祭の予算として渡されたのは、「例年通り」たったの1万円だった。
由香里はおどろく浅井をつれて村を回っていく。広がる棚田に畑、豊富な農作物、川魚の泳ぐ透き通った川…。美しい日本の原風景に感動する浅井。
だが、そこに人の姿はほとんどない。若者は出て行き、人口は減少、村人の半数が65歳以上…それが神楽村の現実なのだ。
そして由香里は、村人たちから絶大な信頼を得る神主・菰田孝三郎(イッセー尾形)に浅井を紹介する。
浅井は祭について「盛大にやりたい」と言ってのけ、村の人々にから予算を募るつもりだと話す。
「村のみんなに直接会ってみるといい」と言われ、さっそく民家を回るが、待っていたのは飛んでくる湯飲みに灰皿!…村人たちからの激しい門前払いだった。

祭が盛り上がることを、当の村人たちすら望んでいないのだと浅井は知る。

そんな中、市役所で出会った井川登美子(大谷直子)の家を訪ねた浅井と由香里は、そこで登美子が作る美しい和紙を目にする。
こんなに美しい和紙でも、それだけでは生活できない…どうすれば村を活性化できるのか考える浅井に、由香里は告げる。「この村はいずれ廃村になります」。
市の発展のために神楽村を切りすてる…それが福本の考えだったのだ。何か出来るものならやってみればいい、と農林商工課の面々に笑われる浅井。
だが浅井が陰でにやりと笑うのを由香里は見逃さなかった。
後日、浅井は公民館に村人たちをあつめ、祭のメインイベントを発表する。
それは登美子の和紙をろうそくの炎で夜空へ放つ「スカイランタン」だった!
しり込みする村人たちを前に、浅井は言う。
「本当は、この村に活気を取り戻したい、故郷を守りたいって、そう思ってるんじゃないんですか、皆さん?」福本たちの目を掻い潜り、浅井の神楽祭実行計画が動き出す!
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